senjingaran5’s blog

▫️photo <時の彼方に> senjinsennin

◇ 佐藤千盡展

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                           佐藤千盡展に寄せて

                                                                                 石川千佳子

   オールオーバーの画面にたゆたう色の斑(むら)と、ストライプの擦れや色のわずかな重なりから生じる滲みが、繊細な情趣を醸しだす。

   これらの作品は、見かけ上の酷似とはうらはらに、崇高への志向に貫かれたアメリカの抽象表現主義とは出自を異にする。しいて類するものをあげるならば、色彩の洪水のなかに形が崩壊していったモネの晩年の作品だろうか。身近な自然のうつろいをカメラに収め続けて飽くことのない日々が物語るように、佐藤の絵は、眼という感覚器官に直結している。

   また、ストライプシリーズの線は、墨象か、陶器の絵付けの線につながる身体性と時間性を含んでいるが、画面を意思的に断ち切るような動きは一切避けられて、ただ淡々と水平に繰り返されていく。

   変幻してやまない自然の光景を前に、自らを虚しくする明るい諦観に裏打ちされ、無数のタッチが重なる底には情念の淵をのぞかせる絵画世界から、短歌的抒情が匂い立つ。

 

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老人と海と空と

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